月曜日は参観日でした。
ジャミラ君の先生が、
『子ども達がひまわりを2鉢育てたので、
今日持ちかえってください。
一鉢は、お家で楽しんでいただいて、
もう一鉢は子ども達が贈りたい近所の方へ
お手紙を書いたので、一緒に届けてください。』
とおっしゃいました。
ジャミラ君は誰にお手紙を書いたのかなと、
先生から手渡された封筒を見ると
“さかきりばさん”へ
と、宛名が書いてありました。
“さかきりばさん”のお家は、学校帰りに
ジャミラーズが必ず通る場所にあります。
今から5年ほど前、さかきりばさんは脳梗塞で倒れたのでした。
奇跡的に生還したさかきりばさんは、
リハビリの為にマヒの残った体で歩き始めました。
ちょうどその頃、小学校に入学したお兄ちゃんと出会い、
それから毎日さかきりばさんが家までお兄ちゃんを
送ってくれるようになりました。
本当は、“さかきりば”さんは
間違いなんです。
お兄ちゃんが小さくて、
本当の名前が発音できなかったのが、
そのまま我が家で浸透したものです。(笑)
まるで友達のように歩く姿が微笑ましく、奥様も
車でこっそりあとをつけて、疲れてしまうさかきりばさんを
載せて帰ることもありました。
お宅へ寄せてもらって、お菓子をいただいたりして、
可愛がってくれました。
さかきりばさんの歩く姿がしっかりしたころには、
お兄ちゃんの歩きもどんどん早くなり、
下校も遅くなりました。
それと反比例するかのように、さかきりばさんが
話す内容も、だんだんと
ちぐはぐで同じことの
繰り返しになっていきました。
そんな二人がすれ違うようになった去年、
ジャミラ君が小学校に入学しました。
再び、さかきりばさんが家まで送ってくれるようになりました。
だけど、あんなに可愛がってくれたお兄ちゃんのことを
『お姉ちゃんは元気?』
と言ったりして、ジャミラ君も戸惑うことが多かったようです。
『さかきりばさんは、同じ事ばかり話す、、、』
と、ぼやいた時は、
『お父ちゃんもママも、いつか同じようになるんだよ。
みんなそうなるんだよ。
だから、ウンウンってお話ししてあげて。』
と話し合いました。
だから、誰にプレゼントするかと問われて、
ジャミラ君がさかきりばさんを選んでくれた事は、
私にとって嬉しい事でした。
ジャミラーズと、さかきりばさんへ、ひまわりを届けました。
『ありがとねぇ、ありがとねぇ、、、』
と大喜びしてくれました。
『誰だかわからないけど、ありがとねぇ。』
その言葉は、私にもジャミラ君にも哀しかったけど、
車の中から見ていたお兄ちゃんが
『すっげー喜んでくれてるね!
良かったね!(^-^)』
と、嬉しそうに言ったら、ジャミラ君が、
満足そうに微笑んだのが印象的でした。
さかきりばさんは、ずっと手を振って見送ってくれました。
で、さっき、さかきりばさんがやってきました。
鉢をわざわざ返しに来てくれたのです。
そして、袋にはお菓子。
ちゃんと2人分。奥様が用意してくださったのかな?
『奥さん、いる?』
って言ってたから、今日ははっきり分かる日みたいです。
県内でも一、二を争う程の超高齢化地域。
限界集落と呼ばれる土地だけど、
だからこその出会いや気付きがあります。
年齢が違っても心が通うということ。
人はだんだんと老いていくということ。
そして、別れがあるということ。
残された者は、命を継いでいくということ。
たくさんのことを教えてくれる田舎暮らしは、
子ども達の心に、大切なものを授けてくれています。